パレタイズ業務の自動化に取り組みたい・パレタイズロボットを導入したいとお考えですか。
本記事では、パレタイズロボットの種類やメリット、おすすめのメーカーを紹介します。さらにパレタイズロボット導入前の注意点や成功事例も紹介します。
ファクトリーオートメーション化のプロが徹底解説するので、工場内のパレットに積む作業を自動化したいという方は、ぜひ最後までご覧ください。
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パレタイズロボットとは

パレタイズロボットとは、段ボールやケース、袋詰めされた商品などをパレットに自動で積み上げる産業用ロボットのことです。物流倉庫や製造現場などで人手に代わって荷積み・荷下ろし作業を担い、省力化と作業の効率化を実現します。
近年は、重労働の軽減や人手不足対策として導入が進んでおり、「パレタイザー」とも呼ばれることがあります。
扱える荷物の形状や積載パターンも柔軟で、さまざまな現場ニーズに応じたカスタマイズが可能です。センサーやカメラを搭載することで、製品の大きさや位置を検知して最適な積み方を判断するなど、スマート化も進んでいます。
主なパレタイズロボットの種類としては、以下のようなものがあります。
- 直交型ロボット:シンプルな構造で、省スペース・低コストに導入可能。決まった動作に特化している
- 多関節型ロボット:人の腕のように柔軟な動きが可能で、複雑な積載パターンや可動範囲が求められる現場に最適
- スカラ型・協働ロボット:小型・軽量で、人と同じ作業空間でも安全に動作するタイプ。省人化と安全性を両立できる
パレタイズロボットは、単に作業を自動化するだけでなく、労働環境の改善や作業品質の安定化といった付加価値ももたらす重要な設備といえるでしょう。
パレタイズ以外の自動化にも興味のある方は以下の記事も参考にしてください。
工場の自動化とは?メリット・課題・成功事例・進め方を徹底解説
パレタイズロボット導入のメリット

パレタイズロボットの導入には、業務効率や安全性の向上など、さまざまな利点があります。ここでは、特に注目すべきメリットをご紹介します。
- 生産性が向上する
- 自動化による省人化・コスト削減ができる
- 作業の安全性が向上する
それぞれ見ていきましょう。
生産性が向上する
人の手で行っていた荷積み作業を自動化することで、作業スピードが格段に上がり、全体の生産性が大きく向上します。
人手ではどうしても発生してしまう疲労やムラ、ヒューマンエラーも抑えられるため、安定した稼働と品質が実現できます。
さらに、ロボットは24時間稼働も可能なため、夜間稼働や多品種小ロットの対応にも柔軟に対応できる点も強みです。
自動化による省人化・コスト削減ができる
慢性的な人手不足が課題となっている製造・物流業界では、省人化が急務となっています。
パレタイズロボットを導入すれば、従来人手で対応していた荷積み作業を大幅に削減でき、必要な人員数も少なくて済むようになります。
これにより、人件費はもちろん、採用・教育にかかるコストの削減も期待でき、トータルでの運用コスト低減につながります。
作業の安全性が向上する
重たい荷物を扱うパレタイズ作業は、腰痛や転倒といった労災リスクが常につきまといます。
ロボットにこれらの作業を任せることで、作業者の身体的負担を軽減し、安全な職場環境の構築が可能になります。
とくに、高所への積み上げや不安定な荷物の取り扱いなど、人が行うには危険を伴う作業にもロボットは安定して対応でき、事故の未然防止にも効果を発揮します。
パレタイズロボットの導入分類

パレタイズロボットを導入する際には、製品の特性や搬送工程に応じて最適なシステム構成を検討する必要があります。
主に「単体型」と「複合型」の種類に分類され、それぞれに適した活用シーンがあります。
単体型
単体型は、パレタイズロボットのみで荷物の積み付けを行う構成です。外部機器との連携が不要で、比較的シンプルな構造が特徴です。
主に、製品のサイズ・形状・重量が均一で、パターン化された積み付け作業が可能な現場に適しています。動作パターンも一定のため、設計・導入コストを抑えたいケースにも向いています。
例えば以下のような現場で活用されています。
- 食品工場におけるカップ入り製品や瓶詰商品のパレタイズ
- ペットボトルケースやパック商品などの大量処理ライン
複合型
複合型は、パレタイズロボットに加え、搬送コンベアやAGV(無人搬送車)、画像認識装置などの周辺機器を連携させて構築するパターンです。
形状や重量がバラバラな荷物に対応したり、複数の積載パターンを自動で切り替えたりといった柔軟性が求められる現場で活躍します。工程全体の自動化を進めたい場合にも効果的です。
具体的な導入例には、以下のようなケースがあります。
- 物流センターでの段ボールや大小混在製品の積み付け
- 製品ごとにサイズが異なる部品箱の自動仕分け・パレタイズ
- 重量物の荷積み作業を省人化する製造現場
導入の種類を選ぶ際は、以下のような観点から総合的に判断することが重要です。
- 取り扱う製品のサイズ・形状・重量
- 必要な積載パターンの複雑さ
- ラインの自動化レベルや今後の拡張性
- 設備導入にかかるコストや運用体制
現場の課題や目的に応じて、最適なパレタイズロボットの構成を選定することで、投資効果を最大化することができます。
パレタイズロボットメーカー5選

パレタイズロボットの導入を検討するうえで、信頼できるメーカー選びは極めて重要です。ここでは、日本国内外で高い評価を得ている主要5社をご紹介します。各社の主力モデルや特長を比較し、自社に最適なパートナー選びの参考にしてください。
- ①ファナック株式会社
- ②川崎重工業株式会社
- ③株式会社安川電機
- ④株式会社デンソーウェーブ
- ⑤ABB株式会社
それぞれ見ていきましょう。
①ファナック株式会社
山梨県に本社を構えるファナック株式会社は、世界中で利用されている産業用ロボットメーカーです。
パレタイズ分野では、多関節ロボット「M-410iC」シリーズが定番。可搬重量は110kgから最大500kgまで対応可能で、多品種・高スループットが求められる現場にも適しています。高い信頼性と長寿命設計が特徴です。
以下動画はBRICSがファナック展示会の際に撮影したロボットの動画です。
②川崎重工業株式会社
重工メーカーとして長い歴史を持つ川崎重工業株式会社は、産業用ロボットでも高い技術力を誇ります。
「CPシリーズ」は高速処理に優れた垂直多関節ロボットで、80kg〜700kgの可搬重量に対応。パレタイズ専用の設計思想により、動作のスムーズさや積み付け精度が評価されています。
③株式会社安川電機
モーションコントロールの分野で世界的な実績を持つ株式会社安川電機は、産業用ロボットでも国内トップクラスのシェアを誇ります。
パレタイズ用途では「Motoman」ブランドの多関節ロボットが広く採用されており、剛性・精度ともに優れているのが特徴。重負荷でも安定動作が可能です。
④株式会社デンソーウェーブ
トヨタグループの一員であるデンソーウェーブは、自動車部品生産で培ったノウハウを活かした高性能ロボットを開発しています。
中~重量物のパレタイズに強みを持ち、コンパクトながら高出力な機種を多く取り揃えており、限られたスペースでも柔軟な設置が可能です。
製品としては、「VLA-4025/6022」などがあります。
⑤ABB株式会社
スイスに本拠を置くABBは、電力と自動化の分野で世界をリードするグローバル企業です。
SafeMove安全技術を搭載したコンパクトなパレタイジングセル「IRB 660」などを提供しています。
人間の作業員とロボットが安全に協働作業することを可能にし、ネスレの工場で生産性を53%向上させました。
パレタイズロボット・パレタイジングロボットの種類

パレタイズロボットにはさまざまな種類があり、導入現場の条件や目的に応じて最適な機種を選ぶことが重要です。ここでは代表的なパレタイジングロボットの特徴と違いについて解説します。
- 垂直多関節ロボット
- 直行型(ガントリー型)ロボット
- 水平多関節型ロボット
- 機械装置型(機械据付型)ロボット
それぞれ見ていきましょう。
垂直多関節ロボット
垂直多関節ロボットは、人の腕のように複数の関節を持ち、自由度の高い動作が可能なロボットです。パレタイズ用途では主に4軸タイプが使われ、複雑な積み付けや高い柔軟性を求められるラインで活躍しています。
動作範囲が広く、省スペース設計も可能なため、多くの現場で採用されています。また、可動部にセンサーを搭載することで、安全性や制御性を高める設計も可能です。
ただし、周囲に人が作業する場合は安全柵や停止制御など、安全対策をあらかじめ設ける必要があります。
直行型(ガントリー型)ロボット
直行型ロボットは、X・Y・Z方向に直線的に動くスライド軸で構成された構造が特徴です。「ガントリー型」とも呼ばれ、パレット位置まで正確に移動して荷物を積む単純明快な動作が得意です。
構造がシンプルなため位置精度に優れ、同一パターンで繰り返し作業する現場に最適です。また、制御がしやすく、導入コストも比較的低いため、初めてロボット導入を検討する企業にも選ばれています。
一方で、装置全体のサイズが大きくなりがちなため、設置にはある程度のスペースが必要です。
水平多関節型ロボット
水平多関節ロボットは、複数の回転関節で構成されており、主に水平方向に動作します。組み合わせによっては上下方向への動作も可能で、コンパクトな設計と高い制御性が魅力です。
限られたスペースでの導入や、既存ラインを大きく変えずに自動化したい場合に向いています。
パレタイズ以外にも、組み立てや梱包、仕分け作業など幅広い用途に活用されており、柔軟な動作が求められるラインで重宝されています。
機械装置型(機械据付型)ロボット
機械装置型は、コンベアや仕分け機能などと一体化した据付型のパレタイズ装置で、いわばフルパッケージ型の自動機です。高速かつ大量処理が求められる現場に適しており、特定製品の大量生産ラインで多く導入されています。
ただし、積み方やライン構成が固定されているケースが多く、柔軟性に欠ける点がデメリットです。また、スペースや初期投資も大きいため、導入には事前の十分な検討が必要です。
パレタイズロボット導入前にチェックすべき注意点・ポイント

パレタイズロボットは便利な反面、導入前に検討すべき重要な要素がいくつもあります。現場に合った最適な機種を選定し、安定稼働を実現するために、以下のポイントを必ず確認しておきましょう。
- 装置の設置場所の環境
- パレタイズロボットの処理能力
- パレタイズロボットのハンド(先端)の種類
- ティーチング・メンテナンスの必要性
- 費用対効果
それぞれ1つずつ解説していきます。
装置の設置場所の環境
ロボットを設置するスペースには、可動域・フロアスペース・天井の高さといった物理的条件を満たしていることが必要です。
また、床面はできるだけ水平かつ高い耐荷重性を持ち、装置の振動や荷重に耐えられる構造であるかもチェックしましょう。
加えて、ロボットを搬入する経路や設置時の作業性も重要です。大型設備の場合は、搬入ルートの幅・高さ・段差の有無まで確認が必要となります。
パレタイズロボットの処理能力
ロボットの処理能力は「1分あたりの積載回数」や「1時間あたりの処理量」で表され、作業のスループットに直結します。
ただし、高性能なロボットが必ずしも最適とは限りません。実際の作業量に対して過剰なスペックを導入すると、設備コストが無駄になる恐れもあります。
理想は、自社の生産ラインに合わせた“適正な処理能力”を持つモデルを選ぶことです。前後工程とのバランスも踏まえて選定しましょう。
パレタイズロボットのハンド(先端)の種類
ロボットが荷物を扱う際に使用する「ハンド」は、作業効率と精度を大きく左右します。代表的なハンドの種類は以下のとおりです。
ハンドの種類 | 詳細 |
---|---|
把持(グリップ)タイプ | 人の手のように掴む動作でワークを保持 箱ものや重心が安定した製品に向いている |
吸着(エア・磁力)タイプ | 真空吸盤や磁石を使って荷物を持ち上げる方式 軽量物や平面が多い製品に有効 |
包み込みタイプ | 接触面を広く取り、製品全体を包むように持つことで、デリケートな製品も安定して扱える |
荷物の材質・形状・重心の位置に合わせたハンド選びが、トラブルの防止とパフォーマンス向上につながります。
ティーチング・メンテナンスの必要性
ロボットの導入後には、動作をプログラムする「ティーチング」が必要になります。また、稼働後も定期的な点検や消耗部品の交換といったメンテナンスを欠かすことはできません。
トラブル発生時に即時対応できる体制が社内にあるか、もしくはメーカーやSIerのサポートが受けられるかも導入判断の材料となります。操作・保守の教育体制も整備しておきましょう。
費用対効果
パレタイズロボットの導入には、本体価格以外にもさまざまな費用が発生します。架台やハンドなどの周辺装置、センサー・制御機器、ソフトウェアの設計費用に加え、設置工事や調整費、教育・保守費用も含めた総コストで判断する必要があります。
一方で、人件費の削減や生産性の向上、安全性の確保など、得られる効果も大きいため、導入前に費用対効果のシミュレーションを行うことが不可欠です。
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パレタイズロボットに関するよくある質問

パレタイズロボットの導入を検討する際、多くの方が気になるポイントについて、よくある質問形式でわかりやすく解説します。
パレタイザーロボットの大手メーカーは?
パレタイズロボット市場には、国内外問わず多くの有力メーカーが参入しています。中でも以下の企業は、導入実績や技術力の面で特に信頼されています。
主要な国内メーカー
その他にも、大森機械工業、スター精機、IHI物流産業システムなど、業界特化型のロボットを開発する企業が多数存在します。食品・医薬品・重工業など、業種に合わせて最適なメーカーを選ぶことが重要です。
パレタイズロボットの価格は?
パレタイズロボットの導入コストは、ロボットの種類や現場の条件によって大きく異なります。
一般的な価格帯の目安は以下が挙げられます。
- 標準的な導入費用:400万円〜3,000万円前後
(※本体、制御装置、ハンド、設置工事費などを含むケースが多い) - 省スペース型・協働ロボットの例
「JAKA協働ロボットパレタイザー」などは、本体価格が780万円からと比較的導入しやすいモデルも存在します。
価格に影響する主な要素は以下が挙げられます。
- 可搬重量や処理スピード(1分間に何ケース処理できるか)
- 搬送ラインやセンサーなど、周辺装置との連携有無
- ハンド(掴み手)の仕様やカスタマイズ内容
- 現場の設置条件や環境対応(防塵・防滴など)
また、ネット上で販売されている製品の中には、ガントリー型で約110万円〜、多関節型で約900万円といった価格事例もありますが、多くは海外製であり、日本国内での導入時には仕様やアフターサービスが異なるため注意が必要です。
導入コストを抑えるには補助金の活用も有効です。中小企業庁などが提供する「中小企業省力化投資補助金」などを活用すれば、導入費用の一部をカバーできる可能性があります。
パレタイジング用ロボットの導入事例は?
パレタイジング用ロボットの導入事例を1つ紹介します。
真空冷凍パックの箱詰めから積み付けまでの一連工程を自動化
株式会社ナカガワフーズ(熊本県菊池郡菊陽町)では、真空冷凍パック製品の箱詰めから最終工程であるパレットへの積み付け作業までの一連工程を自動化しました。これにより、重労働の代替と省人化が実現し、生産数増加に貢献しました。
パレタイジングには、川崎重工業の垂直多関節ロボットが使用されています。
製品ごとに異なる形状に対応できるよう、ハンドの形状や素材を工夫し、画像認識や搬送制御と組み合わせて自動化を実現しました。狭い設置スペースにはターンテーブル型のパレットチェンジャーを活用しました。
これにより作業員3名分を省人化でき、人員は上流工程に再配置。生産性が向上し、人件費対策にもつながりました。
まとめ

本記事では、パレタイズロボットの基本機能や種類、導入メリットから費用、選定ポイント、成功事例までを網羅的に解説しました。
作業の省人化・生産性向上・安全性改善といった利点があり、特に人手不足や重労働の課題を抱える現場に有効です。導入にはスペースや処理能力、ハンドの選定など事前検討も重要です。
最適な導入を目指すには、現場の課題を明確にし、段階的かつ効果的な自動化を進めましょう。パレタイズロボットの導入はBRICSまでお気軽にご相談ください。無料相談を受け付けております。
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